音づくりで大切にしていること
録音された音は、そのままでは完成ではありません。
目には見えないさまざまなノイズや反響が重なり、話し手が伝えたい内容とは関係のない情報が耳に入り込んできます。
私たちの仕事は、それらを一つひとつ取り除き、リスナーが話そのものに集中できる音へ整えることです。
ここでは、スタジオカグアがポッドキャスト制作でこだわっている音声編集のポイントをご紹介します。
有線マイクの音を基準に考えています
近年はAirPodsなどワイヤレスイヤホンの性能も大きく向上しました。
一方で、Bluetooth通信では音声が圧縮されるため、細かなニュアンスや声の輪郭はどうしても失われます。また、収録時にバッテリー切れのリスクもあり会話に集中できません。

そのため、私たちは有線イヤホンや専用マイクで収録された音を理想と考えています。
元の音が良いほど、編集では「加工する」のではなく、「磨く」ことに集中できるからです。
耳や波形だけでは気がつきにくいノイズを取り除きます
編集では、ホワイトノイズの除去を行います。これは、無音時に静かにイヤホンに集中していると「サーッ」と聴こえる電気的な音です。
エアコンやパソコン、マイク内部のノイズなどは、一つひとつは小さくても、長時間聴いていると耳の疲れにつながります。

一見するとほとんどノイズが無いように見えるデータも、周波数ごとの成分で見てみますとノイズだらけ、ということは少なくありません。
ノイズ低減などのフィルタを使い、話し手の声だけが自然に浮かび上がる状態を目指して、違和感のない範囲で丁寧に整えています。
ただ、ここまでノイズが多いと、左側の音圧弱めの音を大きくするときに、ノイズも大きくなることになり、そのバランス調整は難しいです。
トークの内容や他とのバランスを考え、毎回、音作りをしています。
声の輪郭をぼかす「反響」を抑えます
室内録音では、壁や天井で反射した音が混ざり、声が少し遠く感じられることがあります。
こうした反響は、話し手の印象そのものをぼんやりさせてしまいます。

編集では反響を可能な限り抑え、声の輪郭を自然に引き出します。ただ、反響音の除去は難しく可能な限り、収録時に場所を選んで頂くなどお願いすることも多いです。
必要以上には加工せず、「その人らしい声」を残すことを大切にしています。
マイクかすれやリップノイズは、一つずつ確認しています
AIによるノイズ除去は非常に進化しました。
しかし、「口を開く音」や「息づかい」は、一括で消すと人間らしさまで失われます。
そのため私たちは、リップノイズや息の音を耳で確認しながら、一つひとつ調整しています。
たとえば、洋服にイヤホンマイクがかすれてしまうことで、不快なノイズが録音されてしまいます。
「カサカサ」と聴き慣れない音で、さらに厄介なのは盛り上がっているときに起きがちなので、収録は止めづらい。ただ、かなり長い時間「カサカサ」と耳をつんざきます。

ノイズ低減のフィルタでは除去できないため、手作業で可能な限り除去します。
AIでも除去できる場合もあるのですが、AIは他の「変えてほしくない音」まで変化させてしまうことがあり、私は極力私は使わないようにしています。

「うん」という相槌でさえ、一見するとノイズのように見えますよね。でもそうではないので、ここは除去してはいけません。
波形だけ見ていますとわからない不快音も、目視で丁寧に取り除いています(ちなみに、「すー」という大きな呼吸音は、なるべく口を大きく開けっぱなしで話すようにしますと軽減できます)。

ただすべてをきれいにすればいいかというと、そこはバランスだと考えています。
残すべき音と、取り除くべき音を見極めること、それも音声編集者の仕事だと考えています。
その番組らしい音へ仕上げます
不要なノイズを取り除いたあと、マイクの特性や話し手の声質に合わせて音質を整えます。
低音が強すぎる場合は抑え、高音が耳に刺さる場合はやわらげる。音量のばらつきを調整し、長時間聴いても疲れにくい音へ仕上げます。
派手な変化はありません。
けれど、最後まで自然に聴き続けられるかどうかは、この細かな積み重ねで決まります。
リスナーの耳に残るのは、編集技術ではなく、あなたの言葉であってほしい。
そのために、私たちは今日も音を磨いています。
もし、「もっと伝わるポッドキャストをつくりたい」とお考えでしたら、スタジオカグアへご相談ください。
企画から収録、編集、配信まで。あなたの声が、最後まで聴かれる番組づくりをお手伝いします。

