収録のコツ 2026.08.20

ポッドキャストの録音で差をつけるもの

ポッドキャスト制作でお世話になっている森野さんから、「良いツールがある」と聞き、早速試してみました。
※紹介参考記事はこちら

この記事の要点

  • 無料の「Microphone Test」で録音環境をチェック
  • マイクとの距離で音は変わる
  • マイクだけでなく、オーディオインターフェースも重要
  • インハウスなら「安定して録れる環境」が大切

Microphone Test」は、ばんくし王さんが作った、マイク録音時の入力状態をチェックできるWebアプリです。録音した音声をもとに、より安定した音で録音するための具体的なアドバイスを確認できます。

広告なし、登録不要、無料で使えるので、ポッドキャストの収録環境を確認したい人には便利なツールです。

Microphone Testで早速、録音テストしてみた

PodTrak P4+SHURE SM58 で試した

まずは、私が普段ポッドキャストを録音している環境でテストしてみました。

使用したのは、ZOOM PodTrak P4とSHURE SM58です。

特に何も調整せずに試しましたが、結果は問題なさそうでした。

SHURE SM58は、音響の世界では定番のダイナミック型マイクです。ボーカルやスピーチなどに幅広く使われており、単一指向性のため、話者の声を狙って収音しやすいことも特徴です。メーカーによる周波数特性は50Hz~15kHzです。

ダイナミック型マイクは、コンデンサー型マイクのようにマイクカプセルを動作させるための電子回路を基本的に必要としません。そのため、マイクから出力されたアナログ音声をパソコンなどで扱えるデジタル信号に変換するには、オーディオインターフェースやレコーダーなどの機器が必要になります。

ここはポッドキャスト担当者が機材を選ぶときに重要なポイントです。

「マイクが良ければ音が良くなる」と考えがちですが、実際には、マイクから入った音をどのように増幅し、デジタル化し、処理するかという経路全体が音質に影響します。

Microphone Testは何をチェックしているのか

Microphone Testでは、録音した音声をもとに、録音レベルやノイズなど、マイク入力の状態をチェックできます。

ただし、内部でどのような処理を行っているかについては、公開されている情報だけから細部まで断定するのは避けたほうがよいでしょう。少なくとも実際に使ってみると、「今の録音環境で何が問題なのか」を手軽に確認できるのが、このツールの有用なところと言えそうです。

インハウスでポッドキャストを運営する企業にとっては、こうした「録音担当者が自分で確認できる仕組み」はかなり便利です。

Microphone Test ですが仕組みとしては、録音を開始すると最初の1秒を無音にして、そこでノイズパターンを学習し、以降録音した音声からそのノイズを除去しつつ、さまざまな項目をチェックしてくれます。

AIノイズキャンセリングを実装したポッドキャスト録音機材のZOOM PodTrak P2 USBでも、この原理を使ってクリアな音でポッドキャストを録音します。

最近では、ChatGPTなどのAIに音声波形や録音環境の情報を見せて、音質についてアドバイスを受けることもできます。専門的な音響知識がなくても、録音環境をチェックする機会が広がっています。

イヤホンマイクで試した

次に、オーディオテクニカのイヤホン「ATH-CKS330C」で試してみました。

マイク部分が比較的耳の近くにあるタイプで、AppleのEarPodsと似たタイプのポッドキャストの録音に優れているおすすめなイヤホンマイクです。

ATH-CKS330CはUSB Type-C接続のイヤホンで、マイクを内蔵しています。マイク部はコンデンサー型、全指向性で、周波数帯域は100Hz~10kHzです。なお、イヤホンのスピーカー部分はダイナミック型ですが、マイク部分はコンデンサー型です。

ATH-CKS330Cのマイクは全指向性ですので、周囲から回り込んでくる音も拾いやすく、部屋の反響や環境音の影響を受けやすいです。実際に試してみると、部屋の反響音がかなり入っていました。

また、録音レベルが安定せず、何回か試したところ、入力レベルが低い場合に改善を促す判定が出ました。

イヤホンマイクを近づけてみると

そこで、イヤホンマイクのマイク部分を手で持ち、口元に近づけて録音してみました。

すると、録音レベルは改善し、かなり良くなりました。

これは、マイクを口元に近づけることで、周囲の音に対して声の音量を相対的に大きくできるためです。

一方で、今度は口元に近づけすぎたことで、ピークに対する余裕が小さくなりました。

つまり、

「遠すぎると声が小さくなる」

「近すぎると大きな声でピークを超えやすくなる」

という関係があります。

録音では、マイクとの距離を適切に保つことが非常に重要です。

ATH-CKS330Cのマイク部は100Hz~10kHzの周波数帯域ですが、これだけで「音質」を決めることはできません。実際の録音品質は、マイクの特性だけでなく、こうしたマイクとの距離、部屋の反響、入力回路、デジタル処理など、さまざまな要素によって決まるのです。

したがって、「安価なイヤホンマイクでも、手で口元に近づければ必ず高音質になる」とまでは言えませんが、今回のテストでは、マイクを口元に適切に近づけるだけでも録音状態は改善できることを確認できました。

これは、インハウスで収録するときにも覚えておきたいポイントです。

ATH-CKS330C は、ダイソーで売っている安価なUSBイヤホンマイクと同等のマイク性能(100~10000Hz)の集音機能ですので、おそらく100円ショップで買ってきたイヤホンマイクでも、手で持ってのポッドキャスト録音は、音質を上げるのに有効な方法と考えられます。

ノートパソコン本体の内蔵マイクで録音してみた

さらに、NECのノートパソコンに内蔵されているマイクでも試してみました。

結果は、これまで試したマイクと比べて、周囲のノイズを多く拾っていました。

ノートパソコンの内蔵マイクは、パソコン本体にマイクが組み込まれているため、話者とマイクとの距離が離れやすくなります。そのため、声だけでなく、キーボードの打鍵音や周囲の環境音なども入りやすくなります。

実際、NECのパソコンでも、機種によっては内蔵マイク向けにノイズ抑制やエコーキャンセル、ビームフォーミングなどの機能が用意されています。つまり、内蔵マイクの録音結果は、マイクそのものだけでなく、パソコン側の音声処理によっても変わります。

今回のMicrophone Testでも、具体的な改善ポイントがいくつも表示されました。

「何が問題なのか」だけでなく、「どう改善すればいいのか」まで確認できるのは、とても助かります。

ポッドキャストの音質を改善したいけれど、音響の専門知識まではない。

そんなインハウスポッドキャスト担当者にとって、こうしたチェックツールは、録音環境を見直す最初の一歩として使いやすいと感じました。

イヤホンマイクが服にあたってカスレ音が入るのを防ぐ

ちなみに、イヤホンマイクですが、現状コスパよく安定した音質にできる最適解なのですが、ゆいいつ弱点があります。それが、ぶらぶらすることです。そのことで、襟にカスレたり、顔の動きが多い人はぶらんぶらんして、顔との距離が安定しない、ということが起きます。

それらを防ぐにはやはりマイクを固定するのがベターです。固定にもいろいろあって、セロテープを服や机に貼る、100均でアルミワイヤーを買ってきてケーブルガイドを作るなどです。

いずれにせよ、「自分の声がどう届いているか」を気にかけるマインド、そして相手に強要しないことです。気にしない人は気にしないものです。

ポッドキャストの録音で差をつけるもの

マイク性能よりはオーディオインターフェースの差が大きい

今回のテストで感じたのは、マイクそのものだけでなく、マイクから録音データになるまでの経路全体が重要だということです。

イヤホンマイクを口元に近づけることで録音レベルは改善しましたが、安定した録音という点では、PodTrak P4+SM58の組み合わせとの差を感じました。PodTrak P4のようなオーディオインターフェースを使えば、マイクから入ったアナログ信号を適切なレベルに調整し、デジタル音声として扱えるわけです。

一方、USB接続のイヤホンやUSBマイクでは、マイク側にA/D変換やデジタル処理の機能が組み込まれています。つまり、「マイクの性能」だけを比較しても、実際の録音品質は判断できないのです。

マイク、入力回路、A/D変換、入力レベル、部屋の音響、マイクとの距離。

これらをまとめて「録音環境」として考える必要があります。

ですので、コンデンサーマイクでもXLR端子でオーディオインターフェースに接続するタイプですと、また異なるかもしれません。さらに、ダイナミックマイクでもUSBへのD/A変換内臓のタイプですとその性能にひっぱられるかもしれません。

ポッドキャスト録音のマイク品質チェックにおすすめ

「Microphone Test」は、無料・登録不要で、ブラウザからすぐに利用できます。

ポッドキャストをこれから始める企業はもちろん、すでに番組を運営している企業にもおすすめです。

特に、

  • 出演者によって声の大きさが違う
  • 収録場所が毎回変わる
  • オンライン収録で音質にばらつきがある
  • 「このマイクで大丈夫なのか」が判断できない
  • 音響担当者がいない

という場合には、一度チェックしてみる価値があります。

https://vaaaaanquish.github.io/MicrophoneTest

また、そのばんくし王さんのポッドキャストはとても聴きやすい音質ですので、こちらもおすすめです。

リスナーの耳に残るのは、編集技術ではなく、あなたの言葉であってほしい。

そのために、私たちは今日も音を磨いています。

もし、「もっと伝わるポッドキャストをつくりたい」とお考えでしたら、スタジオ・カグア!へご相談ください。

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yoshida|STUDIO KAGUA(音と物語のスタジオ)
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